【創業者・代表取締役インタビュー 小野茂樹】見過ごされていた「日常」を仕事の主役に! ママの感性と判断力が清掃業の価値基準を塗り替える

「長年ビジネスをしてきて、従業員から『ありがとう』と言われたのは、この仕事が初めてだったんですよ」
そう語るのは、ママクリーン株式会社の代表であり、ママクリーン創業者の小野茂樹。
かつて飲食業界の最前線で働いていた小野が、なぜまったく畑違いの「清掃業」を選び、なぜ「ママさん」と共に働く道を選んだのか。
その原点には、ある一人のママスタッフから言われた、忘れられない一言がありました。
今でこそ、多くの女性オーナーが輝き、地域に愛されるサービスへと成長したママクリーン。
しかし、その誕生の裏側は決して順風満帆ではありませんでした。
約束されていた仕事が消え、ゼロからのスタートを余儀なくされた予期せぬトラブル…。
そこから這い上がろうとした「懸命な毎日」が、今の土台を作り、新しいフランチャイズ像を花開かせたのです。
今回のインタビューは、これからの働き方に迷うあなたへ贈る、ある一人の経営者の実話です。
「ゼロ」からのスタートは、突然のピンチとともにやってきた
──ママクリーンといえば、女性の視点を活かしたきめ細やかな清掃が評判ですが、そもそも清掃事業を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
小野:もともとは飲食チェーンの運営や開発に携わっていまして、独立したときも飲食店のコンサルティングをするつもりだったんです。しかし、会社を立ち上げる際、サラリーマン時代の知人から、あるご縁をいただきましてね。「毎月安定した売上が立つ清掃事業があるから、やってみないか」と。その方はゼネコン出身で、200棟ほどの物件の清掃案件が取れる見込みだから、「人と道具を用意して待っていてくれ」と頼まれたんです。
──コンサル業は安定するまでに時間がかかりるもの。初期段階として、大きな案件が支えにあるのは魅力的ですよね。
小野:そうなんです。ストック収益はとてもありがたい話でした。実際に人をスカウトして、車も道具も揃えて準備万端で待っていたんです。あとは、案件がやってくるだけ…という状態の時に、その知人が急病でお亡くなりになってしまったんです。
──それでは収益どころか、人、車、道具が…?
小野:何より、私のことを気遣ってくれていたその方がお亡くなりになられたことが心から残念で、悔やまれてなりませんでした。でも、悲しんでばかりいられません。仕事が白紙になったということは、雇ってしまったスタッフと、車や道具をどうするかという問題にすぐに対処しなくてはならないからです。売上はゼロの状態。でも、やるしかないという状況でした。
──とはいえ、清掃のノウハウもなければ、営業の仕方もわからないわけですよね?
小野:はい。右も左も、上も下も、なにもかもわかりません。そこから、たった1枚のチラシを近所の不動産会社に配り歩く日々が始まりました。最初は「3ヶ月やって1件も取れなかったら辞めよう」と決めていたんですが、必死に配り続けて、なんとか1件目の契約をいただけて。そこから1年、毎日20件、月に400枚のチラシを配り続けました。
──こうして、すべてが整っていない状態からの挑戦が、結果的にママクリーンの原点になりました。制度や仕組みではなく、まずは「動くしかない」という行動の積み重ねが、後の成長の土台に。そして、この立ち上がりの経験こそが、のちにオーナー支援や運営方針にまで大きな影響を与えることになっていくのです。
「ママ」という才能との出会いが変えた価値観
──まさに背水の陣ですね。そこから、どのようにして現在の「ママクリーン」の形になっていったのでしょうか?
小野:1年間地道にチラシを配り続けたおかげで、2年目に急激に依頼が増えたんです。「100棟やってくれ」「50棟頼む」と、一気に仕事が舞い込んできました。当然、私と後輩だけでは手が回らないので求人をかけたんですが、これがまたてんやわんやで……。
──もしかしてなかなか人材が集まらなかったのですか?
小野:ええ。当時、清掃業の求人に応募される方には、いろいろと問題を抱えられている方が少なくなかったんです。例えば責任感に欠ける方、公衆衛生意識が低い方などでしょうか。しかも、定着率が悪く、仕事はあるのに、人が育たないという悩みを抱え続けていたのですね。そんな折、1人の主婦の方が面接に来られたんです。30代前半で、小さなお子さんがいらっしゃる方でした。その方の面接時に、ふと受けた相談が実は大きな転機になったんですよ。
──主婦の方というと、今のママオーナーさんやラウンドママ(※1)さんと共通する環境を想像できますね。どんな相談なのでしょう?
小野:「働きたいけれど、子供がいるので曜日や時間の指定がある仕事は難しい」と。そこで私は、お付き合いのあった不動産管理会社さんに交渉して、しっかり行き届いた掃除のクオリティを提供するので、清掃の曜日や時間が多少前後しても任せてもらうという条件の契約をまとめることができたんです。
──なるほど。一般的な「シフト」の概念を崩して、成果で評価してもらう形をとったんですね。
小野:実際に働いてもらうと、彼女の仕事ぶりは素晴らしかった。今まで私たちが気づかなかったような細かい部分まで、女性ならではの目線で丁寧に仕上げてくれる。お客様からの評価も非常に高く、レスポンスも早い。何より嬉しかったのは、彼女から言われた「ありがとう」という言葉だったんです。
──その方は何について感謝していたのでしょう?
小野:はい。彼女たちは「子供がいても働ける環境を作ってくれてありがとう」「空いた時間に社会と繋がれて嬉しい」と言ってくれましてね。この言葉に大きな衝撃を受けて、その時、気づいたんです。「この仕事は単なる清掃業じゃない。働きたくても働けないママさんたちが輝ける場所を作ることが、一番の社会貢献になるんじゃないか」と。それが、ママクリーンの原点になっていったんです。
※1:フランチャイズオーナーのもとでパートとして働く巡回型の清掃スタッフ。主婦ならではの細やかさと生活感覚で、質の高い清掃を行っている。
──この出会いによって、働きたくても働けないママたちの存在があることに気づいた小野。「清掃の質が上がった理由も、人が定着しなかった理由も、働く環境に目を向ければ説明がつく…」。ここから、ママを中心に据えたママクリーンの形が見え始めていきました。
「日常清掃」こそ、プロの視点と主婦の感性が光る場所
──清掃業の中には「ハウスクリーニング」や「特殊清掃」など色々ありますが、なぜ「日常清掃」に特化されたのですか?
小野:日常清掃こそ、建物の資産価値を守る一番重要な仕事だと信じて疑わなかったからです。例えば、入居希望の方が物件を見に来た時、共用部にクモの巣が張っていたり、ゴミが散乱していたりしたらどう思いますか? 部屋の中がいくら綺麗でも、「ここには住みたくない」と思いますよね。日常清掃は、特別な機械を使って一発で綺麗にする清掃とは違い、「常に一定の美観を維持する」という難しさがあるんです。
──汚れ方は建物の立地や年数によって千差万別ですから、逆に力量が問われますものね。
小野:でも清掃業界の中では、日常清掃について「誰でもできる簡単な仕事」と思われがちなんですね。だから最初は、周囲から猛反対されました。「水回りや退去清掃をやらないと儲からないよ」って。でも私は、マニュアル通りにほうきで掃くだけではなく、「どこを綺麗にすれば、人が心地よいと感じるか」、その建物をご利用になる方のお気持ちを考えた清掃を大事にしたかったんです。
──利用者の心理を考えた仕事で、独自のブランドを築こうと考えたわけですね。
小野:そうなんです。もともとコンビニなどの小売業での経験で培った「動線」や「目線」の考え方を応用できると考えたんです。コンビニでも、店内のポップ一つ置くにも、人の視線がどう動くか計算されていますよね。
──確かに! そのノウハウは活きますね。
小野:ですから「入居者様はどこを見てきれいだと感じるか」「どの動線にホコリが溜まりやすいか」など、現場目線で徹底的に分析していったんです。この視点と、ママさんたちが本来持っている「気配り」が組み合わされ、他社には真似できないママクリーン独自の品質が生まれたというわけなんですよ。今では「ママさんにお願いしたい」と指名で依頼をいただくことも多いほどです。
――日常清掃を、単なる作業ではなく、建物の印象や暮らしの質を左右する価値づくりの仕事へ。プロの視点で動線を読み解き、主婦の感性で細部を整える。この掛け合わせが、ママクリーンが選ばれる理由になっていきました。
競争ではなく「共創」 孤独にならないフランチャイズの形
──さて、ここから加盟店の皆様方のお話を聴かせてください。加盟店オーナーの皆様はどんなふうに本部とお付き合いなさっているのでしょうか?
小野:一言でいうと、とても横の連携が強く、本部と加盟店というラインだけでなく、加盟店同士でも情報交換や協力しあうラインがありますね。例えば愛知県には現在6店舗ほどの加盟店があります。一般的には、近隣店舗はライバルになりがちですよね。「仕事の取り合いになるんじゃないか?」と心配になるものです。でも実際は逆で、オーナーさん同士がすごく仲が良く、「このエリアは任せるね」「困ったときは手伝うよ」と、横の連携で、さらにビジネスを加速させていますよ。
──そうした横の連携は、どのように生まれてきたのですか?
小野:お互いに情報交換したり、励まし合ったりするカルチャーが自然にに助け合う風土や、自発的に発想できる土壌を創り出しているんだと思います。私たち本部は「マニュアル通りにやってください」とは言いません。加盟店さん一人ひとりの生活スタイルや、理想の働き方を最初にじっくりヒアリングし、「稼ぎたい」のか「家庭を優先したい」のか、しっかり見極めていきます。それぞれのオーナーの人生に寄り添っていることを、オーナーさん同士でも感じ取っていただいているのでしょうね。こうしたカルチャーが生まれたのは、本部スーパーバイザーである重冨の努力が大きいでしょう。
──これから一歩踏み出そうとしている方に向けて、成功するためのアドバイスをいただけますか?
小野:特別なスキルや才能は必要ありません。成功しているオーナーさんに共通しているのは、「コツコツと続けられること」です。例えば、チラシを片手に、不動産管理業者さんにこまめにご挨拶に伺うなど、地道な活動に続けられるかどうかが、実は一番大きな差になります。こう話すと、「なんだ、チラシか」と思われるかもしれませんが、これが意外と奥深いんです。
──確かに、地道な作業ですが、だからこそ差が出る部分ですね。
小野:ここでも「女性の力」は強いんですよ。主婦の方が笑顔で「近くに来たので」と挨拶に伺うと、不思議と胸襟を開いてもらいやすいんです。が開くんです。世間話をしながら、気づけば仲良くなって仕事をもらっている。これはもう、彼女たちの才能ですよね。
──すごくほっこりします(笑) さに「自分らしさ」を活かした営業ですね。
小野:それでいいんです。難しい経営理論で武装する必要はありません。等身大の自分で、地域の方とコミュニケーションをとる。そして、約束したことをコツコツと守る。それさえできれば、結果は必ずついてきます。私たちは、5年以内に各都道府県に最低1つは拠点を置き、「働きたいママたちの駆け込み寺」のような存在になりたいと思っています。もし、今の働き方に迷っているなら、ぜひ一度お話を聞きに来てください。あなたが一番輝ける方法を、一緒に探していきましょう。
──ママクリーンの歩みは、偶然の出会いや小さな挑戦が積み重なり、やがて「ママが無理なく輝ける場所」という唯一の価値に結実してきました。現場で磨かれた品質も、オーナー同士が支え合う文化も、その根には「目の前の人に寄り添う」という姿勢が一貫して流れています。
清掃という仕事を超え、人生の選択に寄り添う事業へ。その思いと歩みが今、全国へ広がろうとしているのです。
Q&A
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経営や営業の経験が全くありません。普通の主婦でもオーナーになれますか?
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もちろんです。ママクリーンでは、難しい経営知識よりも「コツコツと続ける誠実さ」や「気配り」が最大の武器になります。本部が営業ノウハウの提供や事務面のサポートをしっかり行いますし、先輩オーナーとの横の繋がりもあるので、一人で悩むことなく成長していける環境です。
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小さな子供がいて、フルタイムで働くのは難しいのですが…。
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そのための「ママクリーン」です。ご自身のライフスタイルに合わせて、稼働時間や日数を調整できるのがこのビジネスの最大の魅力です。「16時には仕事を終えて夕飯の支度をする」といった働き方を実現しているオーナーさんもいらっしゃいます。
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体力に自信がないのですが、清掃の仕事はハードですか?
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日常清掃は、重労働ではありません。アパートやマンションの共用部(廊下や階段など)の清掃ですから、特殊な重い機材を使ったり、危険な高所作業を行ったりすることはありません。適度な運動になる程度の作業量ですので、30代から50代の方まで無理なく続けていただけます。




